こんにちは。英御流杏奈(はなぶさごりゅう あんな)です。
今日も浅草のスターバックスで美味しいコーヒーを飲みながら、「日本舞踊のチントンシャン」の記事を書いています。窓からたくさんの人で賑わう浅草が見える、とても好きな場所です。
最近よく見かけるのは、着物で散歩や買い物をしている方々です。日本人でも外国人でも、女性でも男性でも、着物を着ている人が多いです。浅草寺やスカイツリーを背景に華やかな着物姿の写真を撮るグループやカップルで浅草には多くの色があふれています。
着物が大好きな私は、多くの人に着物の魅力を味わっていただけていることをとても嬉しく思っています・・・が、ど〜しても気になるところがあります。
昔、一番気になっていたのが着付けでした。後ろに半襟が出たり、おはしょりが乱れたり、衿元がシワだらけだったり……。このような着方をしている方を見たらその人を呼び止めて「ちょっと直そうか」とどうしても言いたくなります。もちろん、言いません。ご安心ください(笑)!
今は、多くの方々があちこちに出来ているレンタル着物屋さんで着付けてもらうため、キレイな着物姿がほとんどです。ただし、着物姿で気になるのは着付けだけではありません!
着物をキレイに着こなすには、仕草や所作も重要です!
着物は特別な服なので、体の動きや自分の態度を合わせないとどうしても違和感が生まれてしまい、どんなにキレイな着方をしていても魅力を感じないのです。ハイヒールと一緒です。ハイヒールを履いて、スニーカーと同じ歩き方をすると、女性らしさや色気よりも安っぽい(危なっかしい)印象を与えてしまいます。
また、着物を意識した動き方をしないと着崩れる心配もあります。座った後に帯が解けたり、裾を踏んでしまったり、着物を着るのに不安を感じる方も少なくないでしょう。
私にもはじめて着物を着るようになった頃、すぐに直せないところで着崩れてしまった辛い思い出がたくさんあります。最初は着方が悪いのだと思い、紐をより強くしめたりいろんな改善策を試してみましたが、窮屈になっただけで結果は変わらず困っていました。
ところが、それを変えてくれたのが日本舞踊のお稽古です。歩き方や体の使い方など日本舞踊の基本をしっかり覚えることで初めて、朝から夜まで一日中を着崩れずに気持ちよく着物を楽しめるようになりました。
今回は、着物をキレイに着こなし色気のある着物姿を見せる、日本舞踊で学んだ秘訣を共有しますので、ぜひ参考にしてみてください!!
歩き方
実は、歩き方を見れば着物を着慣れている方とそうでない方の区別は簡単にできます。日常生活での歩き方は、着物に合わないからです。
着物は足の動かせる幅を制限します。ズボンを履く時と同じ歩き方をしてしまうと、裾が開いて腰巻やステテコが見えたり、裾が上がったり、裾に引っかかったりすることもあるので、歩き方を変えましょう。
では、着物で歩くポイントとは?
まずは、歩幅を狭くしましょう。足の長さ次第なのでどのくらいかは具体的に言えなませんが、裾先がすこ〜しだけ開く程度の幅で良いでしょう。もちろん幅が短すぎると、うまく進めなくなってしまうので、自分に合う歩幅を見つけましょう。
つづいて、膝をしめましょう!膝をしめることによって太ももが開かなくなります。裾の乱れを防ぐことができて、歩幅が自然と小さくなります。
また、膝をしめるために、足を少し内股にするといいでしょう。少しですよ!極端な内股は膝に負担をかけてしまうし、綺麗なカタチとつながりません。そのため、足を内側に向けるよりも、歩く時に(一直線で歩いているように)出る足を後ろの足の直前に置くカタチを考えたほうがいいでしょう。
ちなみに、膝をしめやすくするコツは、膝をほんの少しまげる(日本舞踊では「腰をいれる」という)ことです。
そして、足を上げないことです。下駄を履く時は違いますが、草履を履く時は足をあまりあげないほうがキレイです。
最後は、胸です。膝をしめることによって太ももや腰が固定され、上半身も固まりがちです。
ここでは胸を軽く振ってみましょう。左足が出たら右肩、右足が出たら左肩が少し前に出るというかたちです。ここの注意点は肩でからではなく、脇腹を使って上半身を振ることです。肩を振ると、動きが激しくなりますので、できるだけ脇腹の筋肉を利用し胸を小さく(!)振ってみましょう。
走り方
「走る?着物では走れないんじゃない?!」と皆さんは思ったでしょう。確かに、疾走するのは難しいですが、小走りはできますし、むしろ可愛いですよ。
着物での走り方は歩き方とほぼ一緒です。足の開き幅を小さくし、膝をしめ、軽い内股で一つのラインで走ります。
一つだけ気をつけないといけないことがあります。通常走る時には、腕を大きく振りますね。しかし、着物では腕を振ったら袖が激しく揺れてしまうし、カタチが崩れてしまうので、腕はあまり大きく動かしません。ただ、上半身を動かさないとバランスがとりづらいし、なかなか進まないですね。そのため腕ではなく上半身(胸)を意識して振ってみましょう。歩き方で説明したのと同じですが、足が速く動く分さらに小さく脇腹を使って左足がでたら右肩、右足が出たら左肩を前に出しましょう。そうすると、前に進みやすくなると同時に色気も出せます。
階段を登る
着物を着て階段を登る時には、上記で説明した膝をしめることと足の置き方以外、注意点はほぼないのですが、裾を少しあげたほうがいいでしょう。
親指以外の手を入れて裾を上の方に少しあげることによって裾が開かなくなり、階段にぶつからなくなります。そのため裾の汚れも防ぐことができます。
腕
先ほども触れたとおり、着物を着る時に腕は振ったり大きく動かしたりしないように気をつけましょう。
それには二つの理由があります。一つ目は、腕を激しく動かすと袖先が揺れて落ち着きのないカタチになってしまうということです。二つ目は、腕が見えてしまうということです。着物を着る時に腕や足を見せるのは品のないカタチになるため、裾や袖が上がったりする動きは基本的に防ぐべきです。
着物で腕をキレイに動かすためには、まずは、脇を軽くしめて肘を常に体の方によせるように意識しましょう。前腕しか動かせなくなるので大きく振る動きができなくなり、袖の揺れや乱れが防ぐことができるのです。また、脇腹を利用して上半身を少し動かすことができれば、肩や腕を大きく動かさなくても動きの幅を広げ、色気を出すことができます。
最後は、袖に気をつけましょう。着物でランチをしたときに、お水を取ろうとしたら知らないうちに袖が食事に触れてシミができてしまった…というつら〜い経験など、ありませんか?袖がどこかに引っかかったり汚れたりしないように、何かを取る、渡す、注ぐ時には、他の手でたもと(袖先)をあげましょう。

座る
着物の理想の形は、頭から足までのまっすぐな円筒形です。それを見せるために、姿勢を保つ必要があります。ただ、一日中パソコンの前で作業したりしていて、現代人は姿勢が悪くなりがちですね。私もそのひとりです(笑)。
着物を着たことのある方は経験されたと思いますが、帯をしめると、姿勢が自然によくなりますね。かたい帯が背中を伸ばし、肩甲骨をサポートしてくれるからです。
問題は座るときです。おしゃれなカフェで見かける着物姿の人には、背中と肩を丸めて座っていて、胸が帯の上に変に乗ってしまっている方が少なくありません。椅子に座ること自体が着物にあまり似合わないのもありますが、下記のちょっとしたコツに従えば姿勢がより保ちやすくなります。
まずは、座面の前の三分の一だけに座ってみましょう。それで二つの問題が解決できるはずです。一つは帯を背もたれでつぶすこと、もう一つは常にバランスを意識せざるを得ないので、姿勢が保ちやすくなることです。

また、足を組むのもNGです。スカートを着るときに、つい膝を組んでしまうという方は多いと思いますが、着物では裾が開いたり崩れたりしまうので、足は組んではいけません。膝をつけた足を少し斜めにし、手を軽く膝の上に乗せるのが女性らしい座り方です。

着物にもっともふさわしい座り方はもちろん正座です。膝や足にあまり良くないので、長く正座で座ることはおすすめできませんが、着物で正座するシチュエーションもあるでしょうから基本を学びましょう。着物でキレイに正座する秘訣は、裾を膝の下に持っていって整えることです。それで、膝の前に裾が開いたり、立ち上がったときにシワができたりすることを防げるからです。
では、どうやるのでしょうか?
何もせずただ膝を曲げ座ると裾がスカートのように開いてしまうので、座る前に膝を少し曲げたところで右手で裾を押さえてから座りましょう。完全に座る前に手を抜くのを忘れないでくださいね(笑)!
最後、手も常にキレイに揃えてみましょう。着物のように、左手を右手の上に軽く重ねるのは基本です。

着物では着物らしい姿を見せましょう
着物を着るときは化粧や髪だけではなく所作や動きも着物に合わせる必要があります。裾や袖、衿など着物は洋服とは違う特別な衣服であることを常に意識しないといけません。
「うわ〜大変だ!」と思っている皆さん、安心してください。確かに最初は全部を覚えるのが大変かもしれませんが、慣れてきたら考えせずできるようになります。