堅い踊りとゆっくりとした動きのイメージにとらわれないで!知られざる日本舞踊の魅力とは?!(その1)

日本舞踊の魅力 日舞 美しさ
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日本舞踊はその名のとおり日本を代表する芸能ですが、具体的にイメージできる方は少ないのではないでしょうか。

「日本舞踊の代表的な演目は何ですか?」「日本舞踊の踊りとはどのようなものですか?」と、とつぜん訊かれてはっきりと答えられますか?

なかなか難しいですよね。

でも、日本舞踊のなんとなくのイメージならお持ちでしょう。

着物。ゆっくりとした動き。きれいな所作。古い曲。あたりでしょうか。

英御流の無料体験稽古にいらっしゃる方々もこうしたイメージをお持ちのようです。

たしかに日本舞踊はだいたい着物や袴など和装で踊るものですし、ゆっくりとした動きや滑らかな振りがよくみられます。

でも、日本舞踊はそれだけにとどまらず、もっと多様で奥が深い芸能です。

これまで10年触れてきた私は、日本舞踊ほど面白く、絶対に飽きない、魅力的な芸能は他にないと思っています。

今回、その魅力をみなさんにも感じていただきたいと思い、この記事を書きました。ぜひ最後までお読みください。

日本舞踊はダンスとお芝居の中間のもの

笑いあり涙ありの物語

ほとんどの日本舞踊の演目には物語があることをご存知でしたか?

そうなんです!日本舞踊はただのダンス(リズムに乗せた動き)ではなく、お芝居とダンスの中間のようなものです。それは、日本舞踊が歌舞伎やお能、それぞれの地域で伝えられている民謡や芸者が披露する座敷舞など、歌い手の声と踊り手の身体で物語を伝えるさまざまな日本の芸能を合わせて作られたものだからです。

どういう物語かというと・・・

歌舞伎舞踊

歌舞伎舞踊なら以下のカテゴリーに分けられます:

  • 教科書に載っているような史実に基づいたお話(例:平家物語)
  • 伝統的なヒーローたちを題材にした伝説(例:助六、義経千本桜)
  • お化けや妖精、変身できる者の話(例:藤娘、鷺娘、娘道成寺)
  • 動物が主人公になる物語(例:連獅子)
  • 切ないラブストーリー(例:曽根崎心中、櫓のお七)
  • (昔の)日常の暮らしを題材にしたお話(例:団子売り、お祭り)
  • などなど

もちろん、これらに区分されない話もあれば、複数のカテゴリーに当てはまるお話もあります。

ここで一番おもしろいのは変身できる者の話だと思います。非常によくあるパターンで、代表的な演目の多くはこのカテゴリーに当てはまるからです。

例えば、テレビやYouTubeで日本舞踊をご覧になったことがある方は、「藤娘」(ふじむすめ)や「娘道成寺」(むすめどうじょうじ)を観た可能性が高いです。これらは綺麗な娘とお姫様がさまざまな道具を持って美しく舞いますが、そう単純な話ではありません。「藤娘」は若い娘に変身した藤の妖精のお話です。「娘道成寺」の主人公 清姫(きよひめ)は突然寺に現れた美しい女性ですが、そこは数百年前に清姫が恋人を殺した現場でした。最後には清姫がお姫様の姿から蛇に変身するというインパクトの強いお話で、溢れ出る情念や怒り、切なさが特徴です。

藤娘
藤娘(立ち方 英御流白桜)

座敷舞

芸者が踊る座敷舞はお酒の場面で踊られるものなので、短くて内容が面白いのが特徴です。

私が大好きな「綱は上意」(つなはじょうい)などは、渡辺の綱が殿様から羅生門に行って鬼を退治してこいと命令を受け、戦いを準備し鬼と出会うところから始まります。しかし、後半にはとつぜん羅生門は吉原の羅生門河岸に、綱は吉原に遊びに行きたい夫に、そして鬼は夫を止めようとする妻に変わり、楽しい夫婦喧嘩が描かれます。

新舞踊

歌謡曲やポップスを使った新舞踊は、古典(歌舞伎舞踊など)と違い、主人公や物語があまりはっきりせず、ぼんやりとした感情だけを描くものが多いです。日本舞踊に使うために、踊り手(振付師)は人物や場面、歌詞の細かい意味を含めたストーリーを考えないといけません。

例えば、最近私は美空ひばりさんの「ひとり旅〜リンゴ追分入り」に振りをつけました。最初と最後は、知らない街でお酒を飲みながら亡くなった父親のことを思い出し悲しみに浸る男の物語を、「リンゴ追分」が入る中間では、恋人から遠く離れて青森でひとりで暮らしている女性の気持ちを表現し、話の雰囲気をガラッと変えてみました。

このようにさまざまな物語に出会うことができるのも、日本舞踊の素晴らしいところの一つだと思います。

今日はお姫様。明日は江戸のイケメン。

日本舞踊にはさまざまな物語だけでなく、たくさんの魅力的なキャラクターが出てきます。

みなさんは日本舞踊と聞くとかわいい娘や華やかなお姫様など、きれいな女役のイメージが浮かぶのではないでしょうか。それは、テレビなどでみられる代表的な作品にそうした役が多く、日本舞踊家の中でもそういう役に憧れる人が多いからだと思います。たしかに、華やかな衣装を纏い、柔らかな女らしい所作とうつくしい踊りを披露できるのは最高ですよね。

新舞踊 夢幻 愛微塵
愛微塵(立ち役 英御流杏奈)

私はといえば…少し変わっているかもしれません。お祭りで騒いでる鳶頭(若い衆)や、だらしない浮かれ坊主、喧嘩好きなヤクザのお姉さんなど、きれいな役よりも面白くて、力強い役を踊る方が好きです(笑)。

茶壺
茶壺 左側にいる盗っ人が面白くて仕方がない

今日は恋人をワクワクと待っている可愛いらしい娘、明日はモテモテのイケメンや好奇心の強い獅子など、どんなキャラクターにもなれるのは日本舞踊のとても楽しいところだと思います。

さらに、さまざまな役に挑戦すればするほど、知らない自分に出会える事ももう一つの日本舞踊の魅力です。普段は慌ただしい性格だけど踊るときはエレガントで色っぽい芸者に。普段は自信があまりないけど、踊るときはかっこいい殺陣を見せるヒーローに。普段はよくスベるけど、踊るときは大爆笑を起こせるひょっとこに。

女より色っぽい。男より力強い。

「わ〜、本物の女性より女らしい!」

体験稽古に参加されて初めて英御流寿光(はなぶさごりゅう ひさてる)先生の踊りをご覧になる多くの方々が驚きます。

日本舞踊の女踊りの動きは、男が女を踊る歌舞伎から強く影響をうけ、男性のいかつい身体を小さくてやわらかく、女らしく見せるために色々と工夫されています。指一本一本で描かれる滑らかな手の導線、胸元の絶妙にやわらかい動きで生まれる色気、着物の裾さばきをきれいにみせる控えめな歩き方など、昔ながらの日本女性のうつくしさをつくりあげます。

しかし、日本舞踊にはいろんな物語があり、さまざまなキャラクターが登場するので、うつくしい所作ばかりではありません。たとえば、伝説のヒーローの弁慶は、999個の武器(!)を背負っている、いわば男の中の男。彼の動きはとにかくおおげさで、大きくて、力強いです。いっぽう、江戸イケメンの助六は粋な軽い歩き方やスマートな振る舞いが特徴です。

五条橋 弁慶 牛若丸
五条橋 弁慶と牛若丸(立ち方 英御流寿光、英御流杏奈)

もちろん、日本舞踊に出てくるキャラクターは若い男と女とは限りません。やさしいおばあちゃん、よっぱらったおじさん、可愛らしい狐、立派な殿様…本当にいろいろな役が存在します。それぞれの役に合わせて振りや動き、体の使い方を大幅に変えて、特徴がわかりやすいように演じていくのです。

また、踊りの種類によっても動きの特徴があります。お祝いの場面で踊る「ご祝儀」は一つ一つの形をきれいに見せるかたい動き。歌謡曲を使った新舞踊では、メロディーラインにあわせ、うつくしい導線をえがくやわらかい動き。昔い古典なら大げさな動き。より最近の古典(世話物)なら自然に近い動きがふさわしいです。

このように日本舞踊の魅力を語る上で欠かせないのが、さまざまな物語とキャラクターです。ただただ体を動かすのではなく、物語を考えること、それを伝える振りをつけること、そして登場人物を生き生きとさせる細かい役作りをすること、いろいろな楽しさが詰め込まれているので、きっとみなさんも夢中になってしまうでしょう。

第一話はここまでです!第二の記事では、残りの三つの魅力を説明していきますので、ぜひお読みください!!

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