後見って何?歌舞伎と日本舞踊に欠かせない存在を徹底的に紹介

後見 歌舞伎 日本舞踊
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みなさん、こんにちは!日本舞踊のちんとんしゃんへようこそ。

今日のテーマは、歌舞伎や日本舞踊にかかせない存在——「後見」です。

後見とは、表(舞台)に踊る人がいる時、その後ろで控えて座っている人のことです。でもそれは、見て観察しているわけではありません!重要な役目が色々あるんです。

私は後見が大好きで、後見の仕事をしたいのですが、それがなかなか難しい!

そういう点についても書きましたので、ぜひみなさん、最後までお読み下さい。

後見の仕事

では、「後見」とはどういうものなのでしょうか?

後見は、踊り手がスムーズに動けるために手助けし、色々な形で補助する人のことです。

小道具を渡したり、それを使い終わったら、また受け取ったり。着ている衣裳を脱ぐのを手伝ったり、違う衣装を着せたり。あと、「引き抜き」という、衣裳がぱっ!と変わることを手伝ったり。もしくは、道具の配置をずらしたり、変えたり。

とにかく、色々なことをします。

あと、一番面白いのは、ちょっとだけ役を演じたりすること。これは、蝶々だったり、鳥だったり、そういうものを「差し金」という長い竹の棒の先につけ、ちゃんと目で踊り手が追うよう位置を考え、それを揺らしながら飛ばしたりします。

差し金も重たいところはあるのですが、蝶々などはさほど重たくありません。ですが例えば、人間の力ではないものが物を動かすとういう表現で、兜を飛ばすのがあったりもします。それはやっぱり、結構重たいんです!兜だけではなく、毛のような物が引っ付いているので、すごいしなり方をしながら、重たい兜を持ち上げてやらなければならない!そんな仕事もあります。

暗黙の約束

歌舞伎や日本舞踊をあまり観たことのない方は少し不思議に思うかもしれませんが、

踊り手や役者さんだけではなく、たまに後見が一人だけではなく、数人いる場合があります。

目についてしまって、不思議に思うかもしれません。

でもこれは、暗黙の約束事があって、一応踊りや歌舞伎の舞台では、こういう後見の姿は「見えないですよ〜。見えてても、見えないんですよ〜」というつもりで見ていただければならないことです。

もちろん、見えていないという約束があったとしても、後見は、あまり目立たないような動きをしたり、あまり踊り手の邪魔にならないようなところで出入りしたりしなければいけません。

いくら見えないからと言って、ぱたぱたと出てきたりすると、目立ちますよね?そうならないよう、こそこそこそっと出たり入ったりするのが後見です。

後見の責任

後見のことをわかっている人たちは、後見の仕事がいかにスムーズであるか、そういうところも一つの見る楽しみになっています。

例えば、先ほど述べた引き抜きというのは、衣裳の上にもう一枚別の衣裳がのっかってると思ってください。それを剥ぎ取るわけなんですが、それをいかに綺麗に剥ぎ取って、衣裳をぱっと変えるかが、技術の見せどころの一つでもあるんです。

私はそれを、英御流の舞台で一回やらせてもらったことがあるんです。後見やらせてくださいってお願いしたんですが、難しかったです!難しかったというか、まず緊張しました。責任が結構あるじゃないですか?

間違ったら、邪魔したら、どうしよう?みたいな不安もありましたし、あとそこまで振りを覚えていなかったのもだめだったと思います。

家元は師匠から、後見というのは踊り手が倒れたりしたら代わりに踊らなきゃいけない、と教わったそうです。なので後見は自分が担当している踊りのものは全部覚えなきゃいけないという感覚だそうです。

それより、倒れたら助けに行く!そこも後見の大変なところです。あとは誰かが体調が悪い場合、家元は気持ちの中ではしっかりと「覚悟」はできていたそうです。

なんの覚悟かというと・・・

かつらを被ると、ずっと頭が締め付けられている感じになります。不慣れな人は、その痛みで気持ちが悪くなってしまうことも。そうすると、突然何かのはずみで戻してしまったりする可能性が出てきます。

そんなとき後見の人たちは、手で受けるなり着物の中に入れるなりして、「ここでもいい。やっちゃって〜!」くらいの覚悟を持っていなくてはいけないそうなんです。

舞台上を汚さず、その後すぐに続けられる状態を作るためには、自分が着ているものを犠牲にしてしまうのが一番手っ取り早い、という感覚があるそうです。

本当に全てにおいていろんなことを支えていかなきゃならない、大事な裏方の一つですね。

後見の格好

後見の仕事を想像すると、思い浮かべるのは真っ黒な「黒子」の格好かもしれません。見えないのは当然ですが、さらに顔を隠して見えなくします。舞台の種類によって、極力姿を見せないようにしなければならない場合は、この格好になります。

その他にも「着付け後見」というのがあって、それは上は紋付と下は袴で、顔も普通に見せる格好です。

あと、もっとおしゃれにする後見もあります!「裃後見」といって、裃という、上に肩のはった着物があるんです。時代劇でいうと、遠山の金さん。それを着ている役です。その時は、ちょんまげもつけて、かつらもかぶって、昔の感じをそのまま再現した状態でやります。

ちなみに、黒子も黒だけではなく、白や水色もあるんです。

例えば、真っ白な雪の場面になると、いきなり真っ黒な何かが出てくると、目立ってしまいます。なのでそんな場合は、全部白なんです。

あとは海や川だったり、水の場面で作業をする時なんかは水色になります。

見てみたいですね!

後見の仕事の難しさ

後見のお仕事は、責任感がある分、ものすごいプレッシャーがかかる時もあります。

数ヶ月前からどんどんピリピリしてくるというか、緊張感やプレッシャーにも負けないようにしなきゃいけません。

やはり失敗できない、きついものがあるんですね。

私も他の流派さんの舞台のお稽古にお邪魔させていただいた事があるんですが、その時も後見をしている方々はプロだな、と感動しました。舞台稽古は2回しかなかったので、2回しか練習できません。それでも仕事ができるぐらい知識を持っているということです。素晴らしいと思いました。

あと一番は、知識の他にも、臨機応変さが大切だそうです。どんなことがあるかわからないので、引き抜きの時に突然、「あっ、今この人なんか一本抜き忘れているかな」と思ったときに聞きに行くとか。

引き抜きは、衣裳が帯の上と下に挟んであるのですが、バラバラにならないように裾と袖のところに糸を通しています。その糸を全部抜くという作業を、どのくらい素早くできるかが勝負です。

そして、素早くでもあるし、見えないように、目立たないように。あと、振りの邪魔にならないようにしなければならない。

ですがこれもまた色々とアクシデントがあって、糸は切れたり、残りを探さなきゃいけなかったり、残った糸を相手が踊っている最中に抜かなくちゃいけなかったり・・・と、バタバタ!

なのでそこを臨機応変に、どれだけロスを少なくできるか。ロスが大きいようであれば、例えば地方さん(生の音楽の演奏家)が弾いてくれている時目配せをして、「ごめん、伸ばして」とか。目で合図すると、ちょっと伸ばしてくれるらしいです。

テープだったらもうアウトですね!もうこの間で抜けって言われたら、抜くしかありません。

でも、地方さんならプレッシャーがないかというと、やっぱりあるんです。「もう伸ばせないよ」と、言われてしまう時もあるそうです・・・

後見において気をつけること

では、後見の時に心掛けている事とはなんでしょうか?

まずは、出るタイミング。

後見はずっと舞台にいるわけではありません。色んなところから、出たり入ったりもします。

その時、踊りの邪魔をなるべくしないように。決めポーズがあったら、その決めポーズに被せないように。踊り手が体を裏向けて動いてる最中に出るとか、歩いている姿に上手く被せて動くとか。

あとは、舞台上で座るまでの動作も。着付け後見の時は立って出て行く時に、徐々に大勢を低くして、膝を曲げた感じで、小さく動きます。袴も踏まないように気をつけます。

あとは、座り方の角度など、色々と考えないといけません。

ちょっと失敗談

ここからは、家元からの楽しいお話。

歌舞伎の舞台で家元が師匠の後見をやった時、なかなか上手くいかなかったそう。

『寺子屋』というお芝居があって、中村芝翫先生が千代の役で、舞台上で黒い衣裳を解いて抜いたらその中が白無垢だという形なんです。衣裳の着替えに裏で全部手伝わないといけません。

ですが、舞台稽古をして初日も経て、2日目くらいに「1週間でダメだったら、他のやつに変えるよ」と、師匠から・・・

家元はそれからすごく頑張ったそう。後見ってやっぱりプレッシャーがかかってきますね!

めっちゃ楽しい失敗談!!

長年やってると、山のように失敗があるとのこと。

場所は東京の歌舞伎座です。本当に歌舞伎の舞台!

『本朝廿四孝』という演目があって狐火の段、先ほど言った兜が出てくるものです。そこに出てくる姫様が、兜を持って最後に引っ込んでいく。そしてその前に、舞台の中央の奥に、火の玉が出ます。家元はその火の玉を飛ばす黒子の役をやっていました。

最初はちゃんと飛ばすという事に集中をしていたのですが、花道の引っ込みが有名な役者さんだったので、どう引っ込んでいくかなと、勉強のため、飛ばしながら見ていたそう。するとがさがさっと変な当たりがあって、ふっと見たら、なんと道具の木の葉っぱが燃えていたんです!

すぐに下に置いてあった火を消すための濡れ雑巾にシュッと置いて、立ち上がってばたばたっと火を消したんですが、ふっと横を見たらまだ幕が開いていて・・・!

何しろ、旦那が入っていったらすぐに楽屋に行って、「すみませんでした!」と言ったそうです。そして幹事室という、松竹の人たちが必ずチェックをしてみている部屋があり、何かあるとその幹事室からコメントが来るんだそうですが、そこに何か言われる前にとにかく謝らなければいけない!旦那も引っ込んだばかりだったので、相手は何があったか分からないまま、

すぐそこで謝ったそうです。

「ごめんなさい!すみません!ちょっと紅葉を燃やしました!」

ですが、その役もクビにならずに、次の日もちゃんと後見のお仕事をしたそうです。

それからはもう家元は引っ込みなんか見なかったのは、言うまでもありませんが・・・

引き抜きも色々と失敗がある、とお話しする家元。

一番衝撃的なのは、幸い本番ではなかったそうです。

踊りの会で、それは国立劇場の大稽古場という大きな、ほとんど舞台と同じサイズぐらいがとれる稽古場でした。

皆さん化粧はしないけれど、衣裳を着て、かつらもつけて、本番と同じような感じでした。

それも『本朝廿四孝』の「八重垣姫」で、池があって橋の上から覗き込んでいるお姫様の衣裳ががらっと変わるんです。引き抜きで黒子が橋の下から糸を抜いて、立ち方が兜を持ち、表を向いて座り、立ち上がって、決まる。

とても素敵なシーンです。

それは、衣装をつけての最初の稽古で、その衣裳が脱げて変わる時のお稽古でした。

本物の衣装は何キロという重さです。重たいので、刺さってる部分も結構深く着せてないと、動いている途中で脱げてきてしまう。

そうならないようにしっかりと着せこんでるんで、引き抜きをして、ほぐして行く時に

それなりの力が必要となりきます。結構引っ張らなければならなく、そして最後に引き上げます。                  

(引き上げるというのは、上に引き上げると、胸元や他の部分がずるっと抜けて、後下へすっと引くと衣装がずるずるんと下へ。あまり上にしてしまうとかつらも危なく、引っ掛けてしまうといけないので、溶けていくような感じです。)

そしてそのお稽古で、あげてはっと下ろしたら、きゃーーーーという叫び声が。はっと前を見ても誰もいない。そこでふっと下を見ると、踊り手が引っ繰り返っていたんですと!

小さい子供の引き抜きで、ギュッとやったら体がふいっと浮いちゃったとかはあっても、倒したことはない。なので本当に人生初めてだったそうです。もちろん、抜かれた方も初めてだっただろうし・・・目の当たりの人たちも多分初めてだったでしょう。というか、目の前の人がそこで消えちゃうのもあれって思いますよね。

でもそれはトラウマになりますね。踊り手として「倒されました!」となったら、怖いですよね。この人は「もう近づかないでください!」ってことになってしまいます。

ですが、本番前にもう一回衣裳をつけての稽古ありましたが、その時は大丈夫だったそうです!

今日は、後見について書きましたが、

まだまだこういう面白い話はてんこ盛りいっぱいあります!

また徐々に出していきたいと思います。

これからも活動頑張りますので、みなさん、楽しみにしていてください。

ではみなさん、良い1日を〜

ありがとうございました!

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